刃物セミナー<実技コース>の包丁研ぎが2017年7月8日(土)10:00~12:00までの2時間、わかくさ・プラザ学習情報館2階の創作実習室で行われました。
切れ味も「味」のうち 包丁研ぎセミナー
参加者は刃物セミナー<専門コース>で見かけた人も何人かいたが、子ども連れの人や年齢を重ねた男性や女性、主婦層など幅広く20名程度の人が受講していた。
講師は春日刃物合資会社の深川誠先生。「リシャープ」という甦る切れ味、研ぎ直しといった意味をもつ造語で商標登録をとられている方です。
刃物セミナー 包丁研ぎのまとめ
最初の20分ぐらい包丁の基礎的部分についての説明。
包丁の名称や包丁の材料について、特に材料については研ぎにかかわる部分が大きいく鋼は研ぎやすいが錆びやすい。刃物用のステンレスは錆びにくいが、鋼に比べると研ぎづらい。チタンは錆びに強く、軽いが軽すぎてきりづらいこともある。セラミックは非常にかたく、一般の砥石では研ぎなおすことができず、ダイヤモンド砥石が必要となる。
両刃包丁の研ぎ方
- 砥石全体を水に浸して気泡がでなくなるまで待ちます。(20分~30分程度)
- 安定した場所に砥石をおきます。今回は専用の台が用意されていましたが、濡れた雑巾などを敷いてもよいです。
- 包丁を右手に持って、右側の面(表)を刃先が手前にくるように砥石にあてます。砥石にあてる角度は約15度で硬貨を2~3枚がはいる感じです。角度が小さいと切れ味が良くなりますが、刃欠けしやすくなり、鈍角につけると強度は増しますが、切れ味が鈍くなります。
- 左手の人差し指、中指、薬指の3本で刃の先端の方を押さえて、刃元の方から研ぎ始めます。包丁の刃が砥石に対して45~60度ぐらいの角度にします。
- 角度を保ちながら砥石の全体を使って、手前から奥へ押し出すように研ぎます。押すときに力を入れて、戻すときは軽く引く感じで。慣れるまでは引くときは砥石から浮かせたほうが研ぎやすくなります。
- 研げてくると「刃返り」がでてくるので、指先で確認しながら刃返りが全体に均一につくように研ぐ。切先の方は砥石と刃先の角度はそのままで手を少し持ち上げるようにすると研ぎやすくなします。
- 表を全体に研いだ後に左側の面(裏)を研ぎます。表と同様ですが、今度は引く時に力を入れるようにします。表でしっかりと刃返りがでていれば裏はわりと簡単に刃帰りがでます。
- 刃がついたら残った刃返りを新聞紙などに軽く擦って取り除いたら完成です。
今回は最初に600番の砥石(荒砥)を使ってから1000番の砥石(中砥)で仕上げました。家庭用ならこれで十分。ただ、粗砥は400番ぐらいの方がよく、中砥の半分以下の番手がよいそうです。
包丁は研がないと切れ味が落ち、切った食材の味も落ちると言われます。また、あまりに研いでいない包丁は研ぎなおしていると、モノが切れる前に息がきれるといういう笑い話もあるぐらい。
今回、自分で研ぎなおした包丁はトマトが切れなかったのですが、15分ほど研ぎなおしただけでスライドさせると包丁の重みでトマトが切れました。切れ味が落ちてきたら早めにとぐようにしたほうがいいですね。
砥石の種類
- 荒砥 ~#600
刃こぼれしたときや刃がかなり丸くなっているときに使う。早く刃がつくが荒いため切り口が荒れてしまう。 - 中砥 #700~#1200
荒砥で研いだ後に使う。普段研いでいれば中砥で始めて大丈夫です。家庭用ではこれだけで十分。 - 仕上げ砥 #4000~#10000
中砥よりも細かく、つやがでます。一般的にこの段階から研ぎなおすことはなく、家庭ではほどんど必要がない。
包丁を研ぎなおす前に砥石を直すという言葉あるほど、砥石は研ぎ直しにとても重要なものです。
刃物セミナー 包丁研ぎの感想
実際に自分の包丁を研いでみて、わりと簡単に研ぐことができたのに研ぐ前と比べて切れ味の違いに驚いた。普段あまり気になっていなかったが、かなり切れ味が落ちていたようだった。
切れる包丁のほうが怖いという人もいるが、研ぎなおした包丁で料理したら無駄な力がいらないので簡単に楽しく料理ができた。これからは一つ目安としてトマトが切れにくくなったら研ぎ直しをしようと思う。