平成29年度刃物セミナー <専門コース>4日目

刃物セミナー 4日目 <現代の素材と種類>

4日目は2017年7月6日(木)19:00~21:00の2時間のセミナー。場所は関市役所6階大会議室です。本日の講師も通称鉄の博士と呼ばれる昭和6年生まれの尾上卓生先生。

刃物セミナー 4日目 <現代の素材と種類>のまとめ

刃物の刃先の部分は厳しい試練をうける部分です。刃先のR部分が3マイクロメートル以下に研ぎあげたものが7マイクロメートルに変化するだけどトマトの皮に切れ込む感じが変わってくる。

刃物をつくっている刃物鋼としては日本以外にスウェーデン、イギリス、オーストリア。金属粉を押し固めて焼結する粉末系素材や産業用構造合金などの刃物素材はほとんど日本製のみぐらい。

刃物鋼

  • 炭素鋼
    鋼を硬化させる主成分の炭素だけの合金で現在でも多くの刃物に使われている。少しさびやすい傾向にあるが、刃の性能として切れ味、切れ味の持続性、研ぎによる刃先形成能力に一番優れた性能を持っている。
  • 合金鋼
    鋼に特別の性能を要求し、効果発揮のために合金元素を含有させ、耐摩耗性、耐衝撃性能、強靭性を熱処理効果と加工によって期待できる鋼種です。金属加工用の工具や金型材がに使われ、その一部の鋼種が刃物用鋼として利用される。
  • ステンレス鋼
    日本の刃物用のステンレス鋼の品種、生産量は世界最大。錆びに強く、いつまでも美しい 状態を維持する鋼で、主に鉄(Fe)に11%以上のクロム(Cr)を含有する。切れ味や耐摩耗性を高めるため、モリブデンやバナジウム等を含んだものもある。
  • 鋳鉄素材
    鋳造品のため、多少厚みがあり、重みがあるが、一般用の刃物としては十分な性能を持っている。
  • チタン素材
    軽くて強くてさびない素材のチタン。鉄の2倍のたわみ強度をもち、電気と熱を伝えにくく、常磁性で磁気に反応しないため生体金属と呼ばれる。人体に害を与えない金属として知られる。
  • セラミック素材
    食材に鉄味がつく心配がない。かなりの強度はあるが刃物の素材としては硬すぎて研ぎ直しがしずらい。また、刃先を固いものに当ててしまうと刃欠けしやすいので注意が必要。

「素材がいかに進歩しようと、それを使いこなしてこそ、良い刃物ができあげるということを忘れないで欲しい」

様々な素材があるが目的に合わせたものを選び、適切な製造方法をすることが重要であるということを再確認できた。

刃物セミナー 4日目 <現代の素材と種類>の感想

今回は様々な刃物鋼の材料を見せていただき、それらを使った刃物を見て触られてもらえたのは面白かった。材料による質感や重量感を体感したり、普通は所持することすらできない飛び出しナイフを触ることができたのは本当に貴重な経験でした。

何のためにどんな刃物を作るのかを考え素材を選び、適切な加工方法をすることを意識した製品開発を心掛けたい。

刃物セミナーの使用テキスト

刃物のおはなし

著者:尾上 卓生、矢野 宏

発行所:財団法人 日本規格協会

定価:本体1,800円(税別)


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