平成29年度刃物セミナー <専門コース>7日目

刃物セミナー 7日目 <現代の刃物と素材>

今年度、刃物セミナー最終日の7日目は2017年7月20日(木)19:00~21:00の2時間。場所は関市役所6階大会議室です。講義の最後には修了式があり修了書をいただきました。本日の講師も通称鉄の博士と呼ばれる昭和6年生まれの尾上卓生先生。

刃物セミナー修了書

刃物セミナー 7日目 <刃物の刃型と切れ味>のまとめ

刃物は高い材料を使って、尖らせれば切れるというものではないのです。
最新の粉末鋼を使って作った包丁ではまぐろの油部分が切りにくいということがあります。
まぐろ切り包丁

よく切れるという包丁で大根を切ろうとしたら、大根にかまれる。食い込んでしまうのは大根の断面にピタッと包丁がくっついてしまっているからです。
料理学校では新入生に数種類の包丁をセットで購入してもらいます。これは食材、用途に合わせて包丁を使い分けて、包丁への負担を減らしスムーズに作業をするためです。

刃型の種類

平造り(フラット)
鉈造り(ロールド)
樋造り(セミホロウ)
総樋造り(フルホロウ)
片刃造り(シングルエッジ)
両刃造り(ダブルエッジ)
方樋造り(シングルホロウ)
鎬造り
両菱造り(ダイヤゴナル)
樋付両菱造り(ダイヤゴナル)
片菱造り

刃物は使い込んでいくと癖がついてくる。布用のハサミ、理容バサミなど専用のハサミで爪を切ったりすればすぐに切れ味がかわってしまう。もちろん使い手の癖もあり、大事に道具を使っている人は他人に自分専用の道具は貸さないそうです。普段使うようななんでも切ったりするものであれば、むしろ100円ショップのハサミでいいかもしれません。

出刃包丁、刺身包丁

包丁についても出刃包丁、刺身包丁、菜切り包丁などは用途によって使い分けます。しかし、一般の家庭で専用包丁を持っているところは少なくなっています。ただ切れればいいというだけでも包丁への負担を考えて使い分ける必要があります。

刃先の薄い鋭角な包丁で硬いものを叩き切ってしまうとすぐに刃が悪くなってしまい、場合によっては欠けてしまう。逆に鈍角の刃のものは切れ味が落ちてしまうのです。

刃先の先端を500倍の顕微鏡で見るとノコギリのような刃がついています。このギザギザのノコ刃がない状態だと切れなくなってしまいます。このノコ刃の粗さによって切れ味、切り口も変わってきます。キャベツなどを切るときには粗砥ぎしてあるほうがザクザクきれて切りやすいが、刺身などは切り口の角が立たないので細研ぎ、ノコ刃が細かいほうがよい。カミソリなどはさらに細かいノコ刃です。

まずはよく使う、使い方をする包丁を相談して購入して1本育てる。歯を磨くように、使ったら研ぎ、メンテナンスをすることで自分の癖をもった専用包丁をつくりあげていくとよい。

使い込んだ出刃包丁

※口金のところを一緒に削ってしまうほど使い込んだ包丁

刃物セミナー 7日目 <刃物の刃型と切れ味>の感想

今回の刃物セミナーでは実際にさまざまな刃物や道具を手に取って間近でみせていただき、さらに触れさせていただけ体感することができ、尾上先生の話と合わせてたくさんのことを学ぶことができた。刃物はあくまで道具であり、使い手は用途に合わせたものを使う必要がある。作り手としても使い手を意識した製作が重要であるということ、それはデザイン、材料や製作工程、方法を研究しつづけることです。使い捨てされる刃物が増えてきているが、長く大切に使ってもらえるような刃物をつくるのと合わせて、使い方、メンテナンスの仕方を伝えることも大切です。

刃物セミナーの使用テキスト

刃物のおはなし

著者:尾上 卓生、矢野 宏

発行所:財団法人 日本規格協会

定価:本体1,800円(税別)


スポンサーリンク
googleadsense
googleadsense

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする

スポンサーリンク
googleadsense