平成29年度刃物セミナー <専門コース>6日目

刃物セミナー 6日目 <現代の刃物と素材>

6日目は2017年7月13日(木)19:00~21:00の2時間のセミナー。場所は関市役所6階大会議室です。5日目が2017年7月11日(火)13:30~16:30に岐阜県工業技術研究所で「刃物の物性の確認方法」という講義があったのですが、仕事で出席できず残念。本日の講師も通称鉄の博士と呼ばれる昭和6年生まれの尾上卓生先生。

刃物セミナー 6日目 <現代の刃物と素材>のまとめ

4日目で学んだ素材についての復習

炭素鋼系列

JIS 炭素工具鋼 SKシリーズ

JIS 炭素工具鋼スペシャル SKSシリーズ

ヤスキ 白紙 1号~3号

ヤスキ 黄紙 2号、3号

合金鋼

ヤスキ 青紙 1号~2号 スペシャル

JIS SUJ-2 軸受用鋼

JIS SKD11、12、61 金型用ダイス鋼

JIS SUP ばね用鋼

JIS SKH 工具用高速度鋼

ステンレス鋼

チタン鋼

セラミック鋼

熱処理について

鋼を焼入れするときは3つのエフェクト(効果)を考える。3つのエフェクトは、マス・エフェクト(質量効果)、 シェープ・エフェクト(形状効果)、コーナー・エフェクト(隅角効果)の3つ。

  1. マス・エフェクト(質量効果)
    同じ材質でも大形になると焼きが入りにくくなります。この大きさによって焼きの入り方が違うことをマス・エフェクト(mass effect)という。
  2. シェープ・エフェクト(形状効果)
    同じ材質でも品物の形によって冷え方、従って焼きの入り方が異る。一番冷え方が早いのは球で、一番遅いのは板です。その割合は球:丸棒:板=4:3:2なります。
  3. コーナー・エフェクト(隅角効果)
    同じ品物でも部位によって冷える割合、つまり焼きの入り方が異なります。これをコーナー ・エフェクト(corner effect)とう。例えば平面を1とすると、二面角(稜)は3、三面角(角)は7、凹み角(隅)は1/3となり、焼きの入り方が異なります。

刃物セミナー 6日目 <現代の刃物と素材>の感想

刃物を作るときにどのような材料を使って、どんな処理をするのか。機械や工具、砥石の種類など最初にしっかりとした設計が大切。海外では工具や砥石などの道具だけでなく、素材に合わせて機械も使い分けている。日本では購入者の権限が強く、価格ありきでの注文が多いため素材の良さを最大限に利用できていないのが現状としてある。たしかにコストを意識しすぎる傾向にあるが、勉強不足やいままでこうだったからという悪い習慣も大きい。まずは自分の担当するところで材料にあった最適な加工法を考えたい。

刃物セミナーの使用テキスト

刃物のおはなし

著者:尾上 卓生、矢野 宏

発行所:財団法人 日本規格協会

定価:本体1,800円(税別)


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