刃物セミナー 2日目 <刃物の歴史>
2日目は2017年6月29日(木)19:00~21:00の2時間、関市役所6階大会議室です。
本日の講師も通称鉄の博士と呼ばれる昭和6年生まれの尾上卓生先生。たくさんの貴重なアイテムを見て、触らせていただきました。
刃物セミナー 2日目 <刃物の歴史>のまとめ
引き続き刃物の歴史。先日は石器時代がメインでしたが、本日は金属器時代のお話です。
金属器時代は青銅器時代と鉄器時代に分けられますが、日本においては時代を明確に区別することは難しい。金属器の文化は技術など総合的な形で伝来したためです。
鉄の原子は元素の中では最も安定して、人工的に他の元素に変化させるのは不可能な元素。体の中にも多くの鉄が存在しており、人間にとって重要な元素です。
人類が初めて使った「鉄」は自然鉄として地球外物質であった「隕鉄」であると言われている。昔の人は鉄とはわからないながらも、鉄を道具として作って利用していた。
※隕鉄を使って現代の技術で作ったナイフ
隕鉄をスライスして作っていて、何とも言えない幾何学的な模様になっている。ダマスカス模様は隕鉄の模様を出そうとして生みだされたとか。
今では金や銀のほうが価値があり、鉄より高値で取引されている。製鉄技術が発達する前などは鉄のほうが貴重で価値のあった時代も。
先日も話があったが、高い材料が使われてるからよいものというわけではない。高い材料ほど、多くの処理量と高い処理技術が必要になる。材料をいかす知識と技術があって初めて良いものができあがる。炭素鋼も合金鋼も硬さは引張強さに比例する。目的に応じた「硬さ」と「強靭性」をもつ素材づくりが大切。
※フィリピンの先住民が使用していたナイフ
フィリピンの先住民は大学などで学んでいないのに言い伝えをもとに立派なナイフをつくっている。これ一本で料理をしたり、縄を切ったり様々なことに使っていた。刃物は家族の1つのしるしとして、男性が女性に求婚する際に作ってプレゼントする文化もあった。
刃物セミナー 2日目 <刃物の歴史>の感想
本日も尾上先生に多くのアイテムを実際にみて、触らせていただけ貴重な経験ができた。先生が鉄の結晶についてわかりやすくするために、かなりのお金をかけて作られたナイフやアイテム、そのほかにも玉鋼、青銅鏡など見ながら、先生の解説を聞くことができ、まさに出張博物館にきているようでした。
刃物セミナーの使用テキスト
刃物のおはなし
著者:尾上 卓生、矢野 宏
発行所:財団法人 日本規格協会
定価:本体1,800円(税別)