刃物セミナー 3日目 <ハサミの歴史と現在>
台風接近で雨風が強い中、3日目は2017年7月4日(火)19:00~21:00の2時間のセミナー。場所は関市役所6階大会議室です。
本日の講師も通称鉄の博士と呼ばれる昭和6年生まれの尾上卓生先生。悪天候の中今回もたくさんの貴重なアイテム持ってきていただきました。
刃物セミナー 3日目 <ハサミの歴史と現在>のまとめ
生活の中の道具としても刃物の話から始まりました。
昔は女性も狩りに行ったり、獣の皮を剥いだり、山菜や木の皮をととったり、護身用にと常に腰に小刀をさげてあるいていた。若い男性が好きな女性に美しい彫刻をほどこして求愛をするのに使われていたアイヌ民具のメノコマキリ(女性用の小刀)。
刀筆の史が紙のない時代には木や竹に筆で文字を書き、間違えると削って修正するのに小刀が使われ、モンゴルでは護身用にモンゴルホタクという民族ナイフを持ち歩くなど刃物が生活の中にしっかりと根付いてきた。
日本の着物は直線的にできていいるため、切る際には裁ち包丁を使用していた。曲線的な洋服の文化が入ってくるとそれを作るために洋ばさみが使われるようになる。その後、様々なハサミが作られ、用途に合わせた設計、デザイン、刃の部分の素材など時代によって移り変わってきた。
※14通り使えるハサミ
現在はマルチツールの製品はいろいろ出回っているが、100年以上前にあったとされる14通り使えるハサミ。ナイフ、ドライバー、葉巻カッター、定規、金づち、ワイヤーカッターなど
※15万円の美容バサミ
※日本で一番高いと言われる45,000円の裁ちばさみ
今回もたくさんのアイテムを見せていただいたが、先生から改めて刀や刃物を見るときのマナーを教えていただいた。
刀や刃物を見ると場合のマナー
- 刃を素手では絶対に触らない。
指紋をつけない、指紋の汚れはなかなか落ちない。 - 無駄な話をしない。
つばがかかると錆びの原因になる。 - 刀、刃物を乱暴に扱わない。
鞘から抜くときは背をしたにしてゆっくりと抜き、傷をつけない。
見せてくれる人に敬意を払い、大切に扱わなくてはいけない。
刃物セミナー 3日目 <ハサミの歴史と現在>の感想
日本で一番高いとされる、45,000円の裁ちばさみや15万円もする美容ばさみを見せていただけ、道具の価値についてあたらめて考えさせられた。今回先生は100円のハサミも一緒に紹介された。切れ味はいいとは言えないかもしれないが普通にきれる。ただ、これで髪の毛をカットしたらおそらくうまくいかないと思う。美容ばさみは美容師に使われてこそ価値を発揮できる。何に使うかという目的にあった道具を選ぶことが重要。
刃物セミナーの使用テキスト
刃物のおはなし
著者:尾上 卓生、矢野 宏
発行所:財団法人 日本規格協会
定価:本体1,800円(税別)