刃物は我々人類に欠かすことのできない道具のひとつで、有史以前から人々の生活を様々な面で支えてきました。
そんな刃物の歴史は人類と共にどう発達したのでしょうか?
人類最初の刃物
今から50万年以上むかし、人類は狩りや木の実の採集などを生活の糧としていました。
狩猟を中心とした生活の中でフリント石を使い鋭利な刃を作れることを発見します。
フリント石は火打石とも呼ばれるものですから、火をおこそうと石を叩いるうちに偶然鋭利な部分ができたのかもしれません。
これが人類初の刃物であり、刃物の歴史のはじまりです。
石の刃物は槍や弓矢の先端に付けられ狩りを助けただけでなく、動物の皮を剥いだり、肉を切るのにも使われたと考えられています。
刃物の進化
時を経て、2万5000年前くらいなると石の刃物は進化していました。
単に石を割って刃を作り出すだけでなく、研磨用の石で刃の部分を研ぐことで切れ味を向上させたのです。
一般的には磨製石器と呼ばれるもので、剣や斧が作られ、特に斧は木の伐採や木材加工に使われたようです。
さらに、この頃になると農業が盛んになり収穫期には石の刃が付いた鎌で、育てた穀物を刈っていました。
このように人類は何十万年もの長期に渡り石の刃物にお世話になりました。
この頃の人間にしてみれば刃物と言えば石だったわけです。
金属製刃物の登場
それからさらに時代が進んで、今からおよそ6千年前になると人類は金属を扱うようになります。
銅または銅とすずの合金が主に使われる時代が長く続きました。
銅はすずと組み合わせることで研磨可能となり鋭さを増しましたが、衝撃で曲がりやすく60cmを超える刃物が作られることは一般的ではありませんでした。
しかし叩いて伸ばすことが可能だったので刃物は様々な形に加工されました。
ハサミもこの青銅器時代の生まれです。
紀元前12世紀になると鉄製の剣が誕生します。
当初は焼き入れせずにハンマーで叩いて鍛えていたので強度が不足し、よく曲がったそうです。
しかし銅よりは硬かったので刃の長い剣を作れるようになりました。強度の高い焼き入れした鉄を使った剣が一般的になるのは中世以降のことです。
刃物の歴史まとめ
このように刃物はその時代で主流となった金属で作り直されていきました。
しかし最新の金属で置き換わるのは一部の有力者が所有する武具や儀式で使う道具が最初で、農民などの貧しい者が使う道具は鉄の剣が一般的になった時代でも石器や青銅の刃物を使っていました。
また、現代の日本に残っている1000年以上前の鉄製の包丁は儀式に使われた高価なものばかりで、一般市民の手に届く実用的な包丁はほとんど残っていないそうです。
刃物は人類の発展に寄り添うだけでなく、人の世の有様まで映し出すほど人間にとって身近な道具だったようです。